ちょっと聞いてください、おかしなことが起きたんですよ。
私自分の声が大嫌いで、自分の声の録音とか絶対できなかったの。
正しくは、「”実際の”自分の声が大嫌い」。
声って自分(話者)に聞こえる声と、他人に聞こえる声が違うっていうじゃないですか。声帯も耳も鼓膜も脳も同じ頭についてるし、空気を通して耳から聞こえる声と頭蓋骨で響いて骨伝導で聞こえる声っていうのがあって、自分に聞こえる自分の声って実際より低くて響きのある落ち着いた声に聞こえるんだとか。
なので私も自分で聞こえる自分の声はけっこう低めでそこそこ好きなんですよね。声が嫌いだからしゃべりたくない、みたいなのは別にないし、一人暮らしなので毎日独り言言いまくってて自分とのおしゃべりだって大好きなくらい。
ところが録音した自分の声は、自分で思ってるよりかなり高いしヘロヘロしてて力がないし上ずっててアホみたいに聞こえて、ほんっと大嫌いで。自分の声だと認めたくない、って感じだたんです。
初めて自分の声を正しく聞いたのは、子供のころに親が撮ってくれたビデオででした。もうびっくりしちゃった。すごくヘニャヘニャした、上ずった声で。これが私?!て子供ながらにショックを受けました。
そして、実際に父親からもずっと「あんたの声は力がない、もっと腹から声出せ」って言われ続けてて。
父親は私の声がほんとに気になるみたいで、大人になった今もけっこう会うたびに「もっと大きな声出せ、腹筋使え、元気出せ。声が変わらないと人生変わらんぞ」みたいに言われ続けてました。いやまじどんだけ弱々しい声なんだ…
友達が私の声真似してしゃべる声もやっぱ高くてヘロヘロしてる。これが現実なんだろうとは思う、けど認めたくはない…
だからもう極力録音した自分の声を聞きたくなくて、自分から自分の声を録音するなんてこともありえなかったんですよね。
ところで、私YouTubeをやりたいなーとつねづね思ってまして。
やりたいのは柄にもなくレシピ動画なんですけども。レシピならまあ声を出さなくてもテロップでできるな、とは思ってたんですが、カメラ買わなきゃなーとかやり方わかんないなーむずそうだなー、てかキッチン狭いし汚すぎるし…なんてグダグダ考えては先延ばししてたんです。
でももう風の時代だっていうじゃないですか。風の時代は「とりあえずやってみる」が基本とのこと。「準備ができたら」なんてもったいぶったり二の足を踏みつづけるのはご法度の時代。
スマホでも、とりあえず試しにどんな感じに撮れるかだけでも試してみようかなー?なんて気がしてきました。
それでね、思い立ったが吉日ということでちょっとスマホで録画とかしてみて、そしてなんかその時魔が差したというか、ふとしゃべってみたんです。
「うわ、自分の声入れちゃった。聞きたくないなー」とは思ったんですが…
…かなり勇気を出してその録画動画を再生してみて…、
…やっぱりショックを受けましたね。
久しぶりに聞いた自分の実際の声、やっぱほんっとフヤフヤしてて気持ち悪い。誰の声だよ、って思っちゃう。まったく知らない他人の声にしか聞こえないし、どうしても受け入れられない…
あと、「あ~~…女の声なんだなー…」みたいな、変な感じもある。
自分が女性であることを認めてないってことはまったくないんですけど、でもやっぱ「女の人の声だあ」「知らない女の人だあ」っていうよそよそしさ、落ち着きのなさみたいなのはあるんですよね。不思議。
それでまあ何度か録音し直して、それでもやっぱ同じ声で。
しかしですね、何度か聞いているうちに「これが自分の声なんだなー、自分ではもっと低くていい声だと思い込もうとしてるけど、実際にはこの声でしゃべって、この声で生きてるんだなー…」と、まあ渋々ではありますが、一応いったん受け止めることはできてきたんです。
単に慣れたというだけのことなのかもしれないけど。
…で、不思議なことが起きたのはその夜です。
珍しいことに実家の父から電話がかかってきまして。
私が電話に出ると、第一声、お父さんがありえないことを言ったんです。
「おお、あんたの声は元気があるなあ」と。
…は!?
私の声に力がないって子供のころからずっとずっと言い続けてたのはお父さんじゃん!?どうした!?って驚きました。
父にも「え、お父さん私の声のこと元気ないってずっと言ってたじゃん…?」と言いました。
父は「ああそうだっけ、まあそう言っとったかもね」くらいの返答でした。
????
なんか…キツネにつままれたような気持ちなんですけども…。
まあ父は今年の始めに倒れて入院、現在自宅療養中ですが医師からは余命一年と言われてるような身の上なので、他人の声がなんにせよ元気に聞こえるのかもしれません。
でも逆に、私にも父の声が最近では一番元気に聞こえたんですよね。
父も自分の調子がいいから他人の私の声が元気に聞こえたのかな?
???なんだろなー不思議だなー。
とりあえず、ちょうど自分が自分の声をいったん受け入れられるようになったその日のうちにこういうことが起きたので、やっぱスピとかで言われてる「自分が変われば自分を取り巻く世界も変わる」ってほんとのことなのかも!って思ったのでした。
他人や世界はただの自分の内面の写し鏡でしかない、世界には本当は自分しかいなくて、自分が自分を責めたり自分の中で認められてない部分があれば、それを「他人」が攻撃してくるという形で体現してくれてるだけ。
自分が変われば世界は面白いように変わっていく(ただし三次元世界なのでタイムラグあり)、っていうやつ。
「まずはとにかく自分が自分を一番に愛することが大事」ってよく言いますが、自分では自分をそれなりに大事にしてるつもりだったんですよね。
…いやいや、自分の声すら認められてなかったのに??って感じだよね~~~笑
声すら装ったり、「自分の声はもっと響きがあって低い」っていうファンタジー妄想に逃げ込んだりしながら生きてるんだよな…どんだけ嘘だらけで自分を否定し自分を傷つけながら生きてるんだろう?
声以外にも、自分で自分を認められてない部分がまだまだ私にはたくさんあるんですよ。自分で分かってるだけでもたくさんあるし、気づいてない部分はもっともっとたくさんありそう。
でもこれらを一個ずつ認めていけたら、その先はどんだけ統合された優しい世界になるんだろう?っていう期待もあります。
自分には「見たくないものに蓋をする癖」がすごくあるんですが、蓋をするから余計に怖くなって余計に見たくなくなってるんだよな…
蓋を開けたらたいして怖いものじゃないし、意外といいものだったりすることが多いんですけども…
とりあえず自分の声ともうちょっと接するようにしたいし、慣れていきたいです。